この映画は、9/9(土)の公開日直後の週末にでも観に行こうかと思っていた作品ですが、またもや夏バテなのか極度の体調不良の為に見送り、翌週の週末からの敬老の日を含む3連休は、今度は、史上初の本土4島を縦断する大型台風の影響のために、暴風雨を警戒するあまりに2日間を棒に振り、連休最終日の敬老の日の9/18(月)に、ようやく台風一過の晴れ間の中、朝早くから、イオンシネマ草津まで、お友達と一緒に、『ダンケルク』と『三度目の殺人』の2作品をハシゴ鑑賞をして来ました。
「生きていることこそが最も尊いという事(17.9/18・2D字幕版)」
ジャンル:戦争映画/人間ドラマ
原題:DUNKIRK
製作年/国:2017年/アメリカ
配給;ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/
上映時間:106分
公開日:2017年9月9日(土)
監督:クリストファー・ノーラン
出演:
フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデン、ハリー・スタイルズ、アナイリン・バーナード、ジェームズ・ダーシー、バリー・コーガン、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィ、マーク・ライランス、トム・ハーディ、マイケル・ケイン(※声の出演)ほか
【解説】
「ダークナイト」シリーズ、「インセプション」、「インターステラー」のクリストファー・ノーラン監督が、初めて実話をもとに描く戦争映画。
史上最大の救出作戦と言われる「ダイナモ作戦」が展開された、第2次世界大戦のダンケルクの戦いを描く。
ポーランドを侵攻し、そこから北フランスまで勢力を広げたドイツ軍は、戦車や航空機といった新兵器を用いた電撃的な戦いで英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めていく。
この事態に危機感を抱いたイギリス首相のチャーチルは、ダンケルクに取り残された兵士40万人の救出を命じ、1940年5月26日、軍艦はもとより、民間の船舶も総動員したダイナモ作戦が発動。
戦局は奇跡的な展開を迎えることとなる。
出演は、今作が映画デビュー作となる新人のフィオン・ホワイトヘッドのほか、ノーラン作品常連のトム・ハーディやキリアン・マーフィ、「ブリッジ・オブ・スパイ」でアカデミー助演男優賞を受賞したマーク・ライランス、ケネス・ブラナー、「ワン・ダイレクション」のハリー・スタイルズらが顔をそろえている。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)
そもそも論として、基本的には、映画は映画館で観るものですが、その中でも、特に今作は、まさしく映画館で観るべき真の映画でしたね。
銃撃音や戦闘機の発する音など轟音が耳から離れそうにないほどでした。
一般の家庭のTVで見たのでは、本作品の真の魅力は半分も伝わらないのではないでしょうか。
CGが嫌いで、極力実物を使うことを好むクリストファー・ノーラン監督らしい作品。
だからこそなのかも知れないですが、エキストラで足りない兵士の人影は、別途に、ベニア板張りのハリボテの書き割り人形で補ったほどの実物主義志向には恐れ入りました(笑)。
そして、劇場の中を、あたかも戦場へと没入させる撮影に要した徹底したカメラワークなどは必見に値するのではないかと思いました。
映画が始まるや否や、1940年のドイツ・ダンケルク海岸に、あたかも、私自身も、その戦場に立っているかの様でしたからね。
銃撃を逃れる若いイギリス兵のトミー(フィン・ホワイトヘッド)の逃走する姿と直ぐに同化し、観客である自分自身さえも、この戦場から生きて故国に帰ろうと必死にさえなった106分間。
第二次世界大戦のダンケルクの勇気ある撤退を、防波堤(陸)、海、空3つの舞台と3つの時間軸で描写していき、それらが混然一体となってクライマックスに向かって収束していくといった編集も実に巧みで、ノーラン監督らしい試みでしたね。
ただ、本作は、ダンケルク海岸にドイツ軍が英仏連合軍40万人を追い詰めたと言った程度の実に大雑把な説明文のテロップのみで、詳細な説明は一切なく、その当時のダンケルク海岸で待避していた、ひたすら救助を待つ40万人もの兵士達。
その中に主人公の一人のトミーも含まれ、これから何が起こるのか、どうなるかは全く展開が掴めず、当時の一般兵士達がそうであったように、観客にも同じく情報を与えない。
敵国のドイツ軍の顔も姿も見えず、戦力も如何ほどのものなのかも、相手の動向が把握出来ない程に恐怖は高まると言う人間心理を巧みに利用しているかの様な設定でもありました。
そう言う意味合いでは、本作は戦争映画というジャンルに括られるかとは思われますが、その割には、例えばメル・ギブソン監督の沖縄戦の映画『ハクソー・リッジ』などに比べて、血飛沫やグロい死体などの描写は皆無と言ってもよいほど見られない点などからも、むしろ「(戦場から脱出する)サバイバル映画」といった体裁であると行って良いかとも思われました。
そして、この防波堤・海・空の至るところに主人公たる配役がいると行って良い。しかし、その誰もが主役でもない。
しかも、彼ら兵士達の背景は何も語られないので各々想像力を働かせて見るしかない。
それもそのはず、ノーラン監督は、当初は脚本を持たずに撮影に入ろうとしたという逸話がある様に、個々人の人物像にはほとんど深みが感じさせない作りになっており、むしろ戦場という普遍的な描写として匿名性を重んじたのかも知れないですね。
上映時間、1時間46分。ノーラン監督作品にしてはやや短めの尺の映画にも拘わらず、観終わるとグッタリとした疲労感さえ覚えるほどでした。
そんな名もなき庶民の中でも、<ムーンストーン号>の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)が一本芯の通った男を演じており、その姿勢には痺れましたね。
また、防波堤を死守し、少しでも多くの兵士達を救出しようと図る、イギリス軍ボルトン海軍中佐(ケネス・ブラナー)は陸に。
兵士アレックス(ハリー・スタイルズ)は海の輸送船の中に。
イギリス空軍パイロットの英軍機スピットファイアを操縦する、ファリア(トム・ハーディ)は空を駆け、ドイツ軍爆撃機とのドッグファイトを繰り広げている。
この近現代史では、かなり有名らしい<ダイナモ作戦>こと、ダンケルク海岸における英仏連合軍の撤退劇については、生憎と私は、その史実を全く知らなかったのも手伝い、戦場の普遍的な描写として匿名性を重んじた為に各配役に深みが無い事もあり、映画を鑑賞しながら、自己投影出来る配役に自分を重ねて観るしか出来なかったですね。
若きイギリス兵士のトミーはその数、約40万人と言われる、その他大勢の代表として描かれており、未だあどけなさが残る童顔を見ると、「必ず生きて還れ!」と切に祈念しながら観てしまいましたね。
救助艇からの救出を待った主人公達は、救助と沈没の繰り返しであり、まさに修羅場の連続。突然のドイツ軍からの襲撃に右往左往するばかり。
しかし、それでも尚、彼らが、祖国への帰還を目指して懸命に生きようとする姿が画面上に大写しにされ、この修羅場での必死の形相になり振り構わず生きようとする彼らの想いの丈が凝縮されて映し出されていきます。
▲非常食もジャムを塗ったパンに紅茶が英国流みたいでした。
カメラはあくまで主人公達をリアルに追うのですが、台詞は少なく、あたかも戦争ドキュメンタリー映画を観ているかの様な緊迫感があり、時計の秒針音の様な音が絶え間なく聞こえくるのが、この音も場面が切迫していくほどに、劇伴が強まり、まるで兵士達の高鳴る心臓の鼓動を象徴しているかのようでもありました。
と言った様に、まさに切迫感を煽り、不穏な空気感をもたらすハンス・ジマーのオリジナルスコアが音楽面からも更に緊迫感を上げていました。
そして、ラストでは、救出作戦は、史実通りの結末を迎えます。
生き残った兵士達に老人が呟く、「生きて還れただけで良いんだよ。」といった台詞が本作の主題とも言うべき<生きる>ことを示唆していて、実に意義深かったですね。
今作品は、戦争映画という括りでありながらも<生きていることこそ最も尊いという事>をより強く主張した作品とも言えるでしょう。
私的な評価としましては、
切迫感のあるハンス・ジマーのオリジナルスコアも音楽面からも更に緊迫感を盛り上げていましたが、クリストファー・ノーラン監督による圧倒的な徹頭徹尾本物志向に拘った映像美は流石という他なく、上映が開始するや否や、あたかも自分自身も戦場に居るかの様な錯覚を引き起こすほどの没入感溢れる作品であり、戦争映画という括りではあろうかとは思いますが、むしろ主題として<生きぬくことの尊さ>を説いた、<サバイバル映画>とも言えるのではないかとも思いました。
また、今作では、イギリス空軍パイロットのファリア(トム・ハーディ)がそれとなく英雄的な感じのお話しにも受け取れましたが、戦争に加担していない民間船舶に乗船していた一般市民の少年の事故死をあえて英雄扱いにしたりしている点などからも、映画『ハクソー・リッジ』の様な軍人による英雄譚のお話しとは大きく異なり、戦場には、英雄や主役は居ないといった、謂わば、ある種の<戦争疑似体験映画>とも言えるかも知れないですね。
但しながら、本作は、多くの日本人には馴染みが薄いダンケルクの救出劇を題材にしている点で、詳細な史実に関する説明の不足などから置いてけぼりを喰らう観客も居るのは確かかも知れないですね。
かく言う、私のお友達(女性)も、お話しの流れやどの配役に重きを置いて観て良いのか解らぬまま、着いて行けずに、「ただ、ひたすら眠たかった。」という状態だったようでした。
従いまして、観る人によっては、本作についての評価の是非も大きく分かれるかも知れないですね。
ですので、五つ星評価的には、あくまでも私的には、予告編の方があまりにも切迫感がみなぎった良い出来栄えでしたので、この本編については、ほぼ満点の四つ星半の★★★★☆(90点)の評価くらいが相応しい作品かと思いました。
※尚、今作は、その撮影のほとんどをIMAX用のフィルムで撮影されているらしいので、出来る事ならば、私も、国内唯一の推奨設備である、IMAX次世代レーザーのIMAXシアター設備のある、109シネマズ大阪エキスポシティ(大阪府吹田市)のIMAXシアターで観たかったですね。
京都からだと決して観に行けない事はない距離にあるのですが、京都市内からは、ちょっと遠くて交通の便が不便かな?(汗)。
そして、通常2D版とIMAX版とを比較すると、比較画像の様に、上下の映像が大きく削除された様なあたかも額縁形になっているらしいので、今後、本作を観られるのであれば、もしも可能であれば、出来る限り、IMAXシアターでの鑑賞がオススメかと思います。
私も機会があればIMAXシアターで観に行きたいくらいですね!
HALU6700@HALU7100
昨晩が嘘のような台風一過の晴れ間の中、今朝は、#イオンシネマ草津 まで、女友達と一緒に「#ダンケルク」「#三度目の殺人」をハシゴ鑑賞ワズ。休日のイオンシネマの客層は相変わらず酷くて、上映途中からの入場者は多いし携帯電話の着信音が鳴… https://t.co/pkgwoncZ29
2017年09月18日 22:03
HALU6700@HALU7100
#イオンシネマ草津 で『#ダンケルク』2D字幕版鑑賞。ハンス・ジマーのオリジナルスコアの切迫感のある劇伴とノーラン監督の圧倒的な徹頭徹尾本物志向に拘った映像美には流石という他ないほどでした!但し、ダンケルクの勇気ある撤退劇自体の歴… https://t.co/cGcRkRXNCd
2017年09月18日 22:37
ニニコ@225_nini
久しぶりにハリボテ使うの見た気がする… https://t.co/NBaAK0b4Rr
2017年09月20日 00:02
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今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。